ホームページ
 強化




他の言語:

'العربية / al-ʿarabīyah
Català
English
Español
Filipino/Tagalog
Français
Galego
Ελληνικά / Elliniká
Italiano
日本語 / Nihongo
Polszczyzna
Português
Română
Српски / Srpski
Tiếng Việt
Türkçe
اردو / Urdu

                                        

他のページ:

モジュール

サイトマップ

キーの言葉

連絡先

ユーティリティのドキュメント

役に立つリンク

目次:

目次:

目次:

隠された資源を発掘する

著者: フィル・バートル教授

和訳:益子かさり


参考資料

要約:

単なる資源の提供は、共同体が外部に依存することを引き起こします。維持されるような発展、貧困の除去、自立の改善のためには、共同体が自らの資源・人材を使うことが必要となります。

外部の助けを受け入れながら、それに依存するような方法ではいけません。幸運にも、どの共同体にも隠された資源があります。残るはそれを発見し利用することです。

はじめに:

貧困にある共同体における私たちの目標は、維持可能な発展、貧困除去、そして共同体の自立です。私たちは彼らの助けになりたいのです。しかし私たちの援助は危険でもあります。それは貧困・不況・依存に寄与しかねないのです。

私たちに必要なのは、貧困の本質、発展の本質をより良く理解し、さらなる援助への依存を防ぐような、貧困や依存に寄与しないような、純粋な助成活動を行うことです。

貧困は絶対的ではない:

どの共同体も「完全に絶対的に貧しい」ということはありません。共同体内に人間が生きている限り、そこには人間が生存できるだけの資源と人材があるということです。もし共同体が考古学の用地でしかなく、生きた人間が住んでいないのなら、それはもはや共同体ではありません。

どの生きた共同体も完全に貧しくはありません。「え、でも」あなたは言うかもしれません「人々には靴も清潔な水も無く、栄養は悪く、子供の死亡率が高く、読み書きが教えられていなく、無関心・病気・無知識・偏狭が蔓延していて、設備がないのですよ。彼らには助けが必要です!」もちろん彼らには助けが必要です。しかし維持されるような発展を目指す私たちは、その助けの本質についてとても注意しなくてはなりません。

どの共同体にも資源・人材がある

念頭に入れておくべきことは、どの共同体にも資源・人材があるということです。なぜでしょう?もしその共同体を強化させたいならば、私たちはその隠された資源を発掘する必要があります。助成するとなれば、共同体を弱化ではなく強化する方法で助成する必要があるのです。もし共同体内の資源を利用しないで、私たちが単に資源をばらまいたら、共同体は退化してしまうでしょう。それは外部の資源への依存を引き起こし、貧困は長期に延ばされるでしょう。

資源とは何でしょう?

資源とは比較的希少で比較的便利な全ての物品またはサービスのことです。簡単に言うとそれには 価値があり、それは 財産です。しかし資源とは「単なる財産」ではなく、何か「望まれる出力」の生産のための「入力」として使われることができるものです。それは「原料」または「生産する活動」のことです。共同体においては、それは共同体 企画への入力のことです。

共同体企画の資源として最もよく考慮されるものは 現金です。現金は最も流動的で変形可能な資源の形式であり、それは実際の資源(物品またはザービス)の購入・賃借に使われることができます。しかし現金とは大抵希少であり、貧しい共同体はそれ以外の資源を探し、それを現金または共同対企画に使えるような資源の形式に換える必要があります。共同体には多数の(現金以外の)物品やサービスが存在するでしょう。

共同体がその優先企画で必要としそうな資源を考えてみてください。まず土地(企画を設置する場所)が必要でしょう。そして企画を操作する道具が必要でしょう。また企画の出力に変換される原料、変換のための人的エネルギーを提供する労働、そして電器、日光、風、水力など機械的エネルギーが必要とされるでしょう。もう一つの種類の人的な資源とは頭脳であり、企画、監視、意思決定、管理、報告をする人が必要です。以上のどれもが必要であり、また共同体内から供給されることが可能です。

重要なのは、それらの現金以外の資源を過小評価しないこと、そして適切な現金(または市場)価値をそれらに割り当てること(共同体の執行委員会や実行委員会がそれに掛けた時間と努力も含めて)です。市民がそれらを過小評価する傾向がありますが、あなたは訓練士として、それらが平等な価値の評価を得るのを確かめる必要があります。

外部の資源:

共同体の外部から得られる入力材料と資源には、次の二種類があります:(1) 政府、そして (2) 補助事務所です。

政府の資源とは、中央・地方・地区の政府(物品やサービスの提供の責任者)の通常そして国庫会計経費、そして共同体への譲与資本を含みます。重要なのは、予算の決定が、共同体の了承を得た後であることです。遠くの首都(国家の首都、地方の首都、または地区の首都)の官僚が、共同体の了解なしに決定することは、慈善と同じくらい悪いことです。それは無関心、依存、貧困の持続に寄与します。

訓練士であるあなたの意思はそのような決定へ及ばない一方、あなたも次の二つの方法により貢献することが可能です:(1) あなたの仲介人としての役割(詳細は下記)の中で、政府役員と共同体の間の対話を促し助成すること、そして (2) 市民が共同体発展の政策を文書化するのを手伝い、中央・地方・地元政府の計画が、共同体の優先企画への返事形式であることを強制する。

補助事務所は様々な形式をとります。どの共同体においても、最も一般的なのは国際NGO、またはそれが資金を提供する国内NGOです(NGO は非政府組織を意味し、それは大抵、非営利の自発的な事務所です)。その他の外部の事務所とは、教会やその非宗教的な補助部門です。 二国間 または 多国間 企画など。国際赤十字は自らをNGOではないと宣言していますが、それは実際にはNGOです。近年はそれらの国際的な補助機関がさらなる共同体参加と維持可能な発展を呼びかけています。

ここでも再び、特に海外の事務局が地元の状況を熟知していないので、意思決定と発展への貢献に共同体の市民も含むことによって共同体を強化させるためにも、あなたは仲介人としての役割も負います。

慈善のパラドックス:

「貧しい人を助ける」とは人間の普遍的な価値観です。世界の主な宗教の教典には慈善寄付の授与が含まれているものです。不況にある地域に対する国政からの援助、裕福な国からの国際援助、貧しい人に対する政府の援助、その全てがこの価値観の現れです。

しかし「貧困を打開すること」と「貧しい個人を助けること」とは同じことではありません。それがパラドックスなのです。個人に援助をすることは、社会問題としての貧困を除去するどころか、それに寄与しさえするのです。なぜでしょう?金銭を求める人に寄付することは、受領人に請うことを訓練させてしまい、請うことが解決法なのだと彼らに誤解させてしまうのです。貧しい国々への国際援助は、彼らに「自分たちにはそれを受ける権利があり、自分たちの国庫予算の資金にしていいのだ」と誤解させてしまいます。

一方、寄付する側の動機も考慮しましょう。どのような利益を得るため、寄贈者は受領者の生存に関心を示すのでしょう?多くの社会では、裕福な人は貧しい人に金銭を寄付することで罪悪感から逃れようとしています。なぜなら彼らは自分たちの財産が貧しい人の金銭から得られたものだと知っているからです(トルストイ)。慈善寄付は貧しい人が金銭を請うことを促し、上流階級が裕福である不平等な構図を推し進め、貧困を維持してしまいます。

がっかりする必要はありません。この資料では外部の援助を廃止するよう訴えているのではありません。暴力的な革命を提唱しているわけでもありません。ここでは援助が与えられる 方法 が重要であり、それが「いかに行われるべきか」が理解されるべきであると主張しているのです。利点に勝る破壊をしないためです。貧しい人への罪悪感を減らす(貧困を緩和する)ことが目的ではありません。貧困と戦いそれを打開することが目的なのです。

ではこの慈善パラドックスが活発化にどう関係するのでしょう?このパラドックスは多数のレベル(個人、共同体、国家、国際)で存在します。また多くの社会的・政治的・経済的な勢力が貧困を維持しています。あなたが貧困と戦うなら、特に共同体レベルでは、それらの勢力の間での慈善パラドックスを理解する必要があります。

「共同体」と「外部の資源」の仲介人として、あなたは慈善行為の危険性を両者に知らせる必要があります。どの優れた軍隊戦略にもあるように「敵を知ってください」。その敵とは貧困のことです。

資源を発掘する:

訓練士としてのあなたの役目は、共同体が地元の資源を発見し利用するのを促し助成することです。

あなたは市民に、彼らが地元の資源(またはその知識)を隠して自分たちをより貧しく見せようとするのは、役に立たないということを教えます。彼らはそうしたくなるかもしれません。しかしそのような方法で寄贈者の同情を得ようとするのは、正直でも名誉でもなく、貧しい共同体の強化にも自立にも効果的ではありません。

市民が内部の資源を発見するのを助けることが重要であり必須です。これはエキサイティングで楽しいことです。ここでは私たちの通常の訓練士ツールが用いられるのが適切です:共同体の集会、壁に貼られた大きい紙、フェルトペン(または棒を使って地面の泥に描く)です。

参加者から潜在的な資源を挙げてもらいます( ブレインストーム のセッションで行うように)。それは例えば若い市民の訓練を担当してくれるような退職した大工、公共施設(診療所や学校)用に使えそうな未使用の土地、エネルギーと関心を分けてくれそうな無職の若者、公共施設の建設現場の労働者に食事を用意してくれそうな農業者や食品生産者、共同体企画のデザインに時間と能力を費やしてくれる誠実で信頼のおける人物などです。

最初に提案された意見を分析しないでください。(あなたは参加した全員に意見を提案して欲しいのです。一部のシャイな人は批判によって萎縮してしまいます。)ブレインストームと同様に、批判と雑談は禁止します。単純に壁に提案された全てを書き出してください。分析は後で行えば良いと説明して下さい。現金だけが資源ではないということ、現金ではない資源の多くが高価値だということを念頭に入れておいて下さい。どの位の価値でしょう?現金ではない資源の相当金額の算出は、正確な企画デザインに必要ですが、それは後に執行委員会によって完了されるでしょう。金銭と富とは、似ているようで違うものなのです。

しかし、この方法で 資源 を列挙するときは、潜在的な現金の財源も忘れずに含めてください。それは例えば資金カンパ、宝くじ(合法な場合のみ)、寄付物の販売(私は以前、都心から来た裕福なビジネスマンが、彼の出身の田舎で行われたオークションで、コップ1杯の水のために千ドルを払ったのを、見たことがあります)。

参加者が、仮に後で実施されないようなアイデアでも、斬新で非正統な考えを提案するよう促してください(ここでは分析は行わず単に列挙すればいいのです)。何かに前例が無いからといって、そこに書き出さないという論理的な理由は無いのです。

強くなるための葛藤:

生物学者たちの間では、生物が危機を通して強くなるということは有名な話です。スポーツが好きな人は、運動を通して彼らの骨と筋肉が強くなることを知っています。教師と心理学者は、脳のエクササイズがその容量を増やすことを知っています。それは社会学の領域でも本当で、共同体・集団・組織は危機を通して強くなるのです。

それとは、生物や組織を殺してしまう完全な危機ではなく、強さを鍛えるような有益な危機のことです。

訓練士はこの事実から何を学べるでしょうか?もし全てのものが慈善として共同体に寄付されたら、それは弱くなるでしょう。あなたがアドバイザー(または誘導者)として共同体にこの法則を教えたり、彼らが自ら、社会的な意思決定をすること、目標を選ぶために時間と努力を費やすこと、資源を発見すること、そして活動計画を作ることを促せば、あなたは共同体と市民を強化できるのです。

共同体が苦闘すれば、それは強くなるのです。

仲介人としての訓練士:

共同体の外に潜在的な資源があると知っている訓練士は、共同体とその資源(政府や補助事務局を含む)の「仲介人」の役割をします。

「仲介人」は、互いを知らない2つの団体を選択し互いに紹介し、また(結婚仲介人のように)両者間の交渉と通信を助けます。

仲介人として、訓練士は両者の理解と意識を高める役目を持ちます。資源提供者(寄付者と政府)と共同体の両者が次のような法則を知る必要があります。(1) 「慈善活動ではなく、維持可能な発展のための助成」(2) 「地元の資源を発見し利用する」(3) 「強くなるために苦闘する」(4) 「何も得られないなら何も与えない」(5) 「自分を助ける人のもとに助けが差し出される」などの、この訓練モジュールに登場する法則です。

維持可能な発展:

全ての貧しい共同体を、外部の資源によって援助することは、数学的に不可能であり、発展に反しています。それには貧しい共同体の数が多すぎるし、十分な資源がありません。

維持可能な発展、 貧困の除去の鍵となるのは、全ての貧しい共同体にすでに隠されている資源を発掘することです。

これは投資活動です。利用されるためには、それらの資源が発見され、市民と外部寄付者の両者から認知され、その発掘のための 管理訓練 に投資が行われる必要があります。

寄付者の援助は、パイプや木材の購入のような自立ではなく依存を促す使い道よりも、訓練や資源発掘の啓発に費やされた方が効果的でしょう。

––»«––
インクや紙は比較的高価なので、地球上の全ての発展途上国における、全ての農村や都市に行き渡るのに十分な、この教材の部数を印刷するのは、財政上は不可能でしょう。しかし、最終的に(農村から都市まで全ての)人間の居住地においてインターネットが普及することは、財政上は可能でしょう。このことが動機となって、このサイト上(../)に訓練モジュールを制作することにしたのです。貧困の除去という地球規模の目標は、(1) この方法論と (2) ワールドワイドウェブを使って、現実のものとなるでしょう。

© コピーライト 1967年, 1987年, 2007年 Phil Bartle
ウェブデザイナー Lourdes Sada
––»«––
最終更新日:2011年10月25日

 ホームページ

 共同体の強化